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レギュレーターの流量曲線を平坦にしてドループを抑える方法

スウェージロックのレギュレーターの種類

レギュレーターの流量曲線を平坦にしてドループを抑える方法

Jon Kestner

一般産業用流体システムの安全なオペレーションを実現するには、一貫した圧力調整が欠かせません。 レギュレーターを使用して二次側圧力を適切に維持すれば、特に大流量のシステムにおいて、流量の変化を最小限に抑えることができます。 しかし、圧力を調整しながらドループを最小限に抑えるには、外部コンポーネントを流体システムに追加することが必要な場合もあります。

ドループとは

ドループを示す流量曲線
図1:このグラフは、4種類の圧力レギュレーター構成の流量曲線を示しています。
青のライン: シンプルなスプリング・ロード式レギュレーター(オプションA - Baseline)
赤のライン: ドーム・ロード式レギュレーターとパイロット・レギュレーターの組み合わせ(オプションB - 「Good」)
緑のライン: ドーム・ロード式レギュレーターとパイロット・レギュレーターを組み合わせ、ドーム・ロード式レギュレーターにフィードバック・ラインを追加した構成(オプションC - 「Better」)
紫のライン: ドーム・ロード式レギュレーターとパイロット・レギュレーターを組み合わせ、パイロット・レギュレーターにフィードバック・ラインを追加した構成(オプションD - 「Best」)

ドループとは、「二次側の流量増加に伴う二次側圧力の降下」です。図1は流量曲線の例を示しています。流量曲線 を使用すると、さまざまなシステム流量に基づいてレギュレーターで維持可能な二次側圧力の範囲を確認することができます。流量曲線は製品試験を経て作成され、規定のシステム・パラメーターでの実際のレギュレーター性能を表します。

流量曲線グラフの縦軸は二次側の圧力、横軸は二次側の流量を示しています。流量曲線の最も平坦な(最も水平な)部分では、流量が大きく変化してもレギュレーターが圧力を一定に維持します。曲線の右端では、レギュレーターが全開状態になり圧力を一定に維持することができません。また、圧力が急速に減少し始めるポイントから圧力がゼロになるポイントの間では、ポペットがストロークの上限に達し、圧力を制御することができません。この部分におけるレギュレーターは、圧力調整機器と言うよりは、単に流量を制限するオリフィスと言っても良いでしょう。

すべての減圧レギュレーターにはある程度のドループが発生しますが、適切な対策を講じることで、この現象を最小限に抑えることができます。システムに適したレギュレーター構成を選定すれば、流量曲線を平坦にすることが可能です。それでは、ドループを抑えるための4つのオプションを見ていきましょう。

オプションA:シンプルなスプリング・ロード式レギュレーター

シンプルなスプリング・ロード式レギュレータースプリング・ロード式レギュレーター は、最も一般的なタイプの減圧レギュレーターです。スプリングの負荷力が感知エレメント(ダイヤフラムまたはピストン)に加わり、ポペットがオリフィスに近づく、またはオリフィスから離れることで二次側圧力を調整します。以降は、このスプリング・ロード式レギュレーターを「Baseline(基準)」として扱うことにします。

一般的なアプリケーションであれば、スプリング・ロード式減圧レギュレーターでもドループを抑えることができます。この構成では、システム流量の需要が増えるとレギュレーターのポペットがシートから離れ、流量が増加します。次に、スプリングの負荷力が少なくなると、レギュレーターの設定値も低くなります。流量の需要が変化すると、スプリングの負荷力に応じてドループの量が変化しますが、高い精度を求めるのであれば、手動で細かく調整して本来の設定圧力に戻すことが必要な場合もあります。

 

ドループの抑制と流量曲線の平坦化に効果的なのは、 ドーム・ロード式減圧レギュレーター です。このタイプのレギュレーターは、スプリングの代わりにドーム・チャンバー内の加圧ガスで負荷力を調整します。ガスによってダイヤフラムが変形し、ポペットがオリフィスから離れることで二次側圧力を調整します。ここからは、ドーム・ロード式レギュレーターとさまざまなコンポーネントを組み合わせ、設計に変更を加えることで、ドループを最小限に抑えて性能を向上させるオプションを見ていきましょう。

 

オプションB:ドーム・ロード式レギュレーターとパイロット・レギュレーターの組み合わせ

パイロット・レギュレーターを備えたドーム・ロード式レギュレーター

オプションBは、ドーム・ロード式レギュレーター、パイロット・レギュレーター、動的調整用の出口フロー・ループという構成で、ドームの圧力を調整します。ドーム・ロード式減圧レギュレーターとパイロット・レギュレーターを組み合わせたオプションBの構成では、ドーム・チャンバー内の圧力を一定に維持することで、ドーム・ロード式レギュレーターが圧力の変化に反応します。ドーム・ロード式レギュレーターのドーム・チャンバーに供給するガスは、パイロット・レギュレーターで調整します。ドーム圧力が過剰になると、出口フロー・ループから排出されます(図2参照)。

システム流量の需要が増えるとポペットがシートから離れ、流量が増加します。ただし、スプリング・ロード式レギュレーターとは異なり、弾性があるスプリングは存在しません。代わりにダイヤフラムが下方向に変形し、ドーム・チャンバーが拡張することで、ドーム圧力がわずかに降下します。ドーム圧力の降下を感知したパイロット・レギュレーターが開いてドームにガスを追加供給することで、本来の設定圧力を維持します。二次側のシステム流量の需要が減少すると、ポペットが上がってシートに接近し、ダイヤフラムがドーム内に押し上げられ、ドーム内の圧力がわずかに上昇します。この余剰圧力は、動的調整用の出口フロー・ループを経由してレギュレーターの二次側に排出しても構いません。

ドーム・ロード式レギュレーターにパイロット・レギュレーターと二次側動的制御を装着して、ドーム圧を制御

図2:オプションBは、ドーム・ロード式レギュレーター、パイロット・レギュレーター、動的調整用の出口フロー・ループという構成で、ドームの圧力を調整します。

図1をご覧ください。この構成は「オプションB - 「Good」」の流量曲線に該当します。「オプションA - Baseline」のスプリング・ロード式レギュレーターの曲線と比較すると、ドーム・ロード式レギュレーターとパイロット・レギュレーターの構成は、よりダイナミックに圧力を調整していることがわかります。多少のドループは見られるものの、流量曲線は水平に近くなっています。これは、幅広い流量でもレギュレーターが高い精度で設定圧力を保持していることを示しています。標準のドーム・ロード式レギュレーターは、数多くのシステムにおいて二次側圧力の大幅な降下を気にせずに使用できますが、他にもドループを抑える方法があります。次に紹介する構成をご覧ください。

オプションC:ドーム・ロード式レギュレーターに外部フィードバック・ラインを追加

外部フィードバック・ライン付きのレギュレーター構成をドーム・ロード式レギュレーターに接続し、二次側の圧力降下の補正性能を向上
図3:オプションCは、ドーム・ロード式レギュレーターに外部フィードバック・ラインを接続することで、二次側圧力の降下をより効果的に相殺します。

ドーム・ロード式レギュレーターに外部フィードバックを追加すると、精度をさらに高めることができます。この外部フィードバックは、二次側のプロセス・ラインからのチューブをドーム・ロード式レギュレーターの感知エリアに戻す形で接続することで、レギュレーターに送られます。

外部フィードバック・ラインがシステムのレギュレーターの二次側圧力を感知エリアに伝達し、そのポイントでの圧力変化にレギュレーターが反応します。ここが、レギュレーター内部の圧力変化にのみ反応する標準のドーム・ロード式レギュレーターとは異なる点です。

オプションCは、図1の3つ目の流量曲線に該当します。チョーク・ポイントに達する直前で流量が増加しているのがわかります。この流量曲線は、これまでの2つのオプションに比べるとさらに平坦になっていますが、まだある程度のドループが発生しています。

オプションD:パイロット・レギュレーターに外部フィードバック・ラインを追加

外部フィードバック・ラインをパイロット・レギュレーターに接続したレギュレーター構成で、二次側圧力のフィードバックを返す
図4:オプションDは、外部フィードバック・ラインをパイロット・レギュレーターに接続して、二次側圧力をフィードバックします。

流量曲線を平坦化するのに最も理想的な構成を最後に紹介しましょう。図4をご覧ください。外部フィードバック・ラインをドーム・ロード式レギュレーターではなく、直接パイロット・レギュレーターに接続しています。パイロット・レギュレーターは、ドーム・ロード式レギュレーターのチャンバー内の圧力を実際の二次側圧力に基づいて非常に高い精度で調整し、ドーム・ロード式レギュレーターが二次側圧力を変更することで圧力の降下を相殺します。

システム流量の需要が増えると、追加したフィードバック・ラインを経由して、降下した圧力がパイロット・レギュレーターに戻されます。パイロット・レギュレーターはこの圧力変化に反応し、ドーム・ロード式レギュレーター内の圧力を上昇させます。これで二次側が適切な設定圧力に維持されます。この構成では、フィードバック・ループによって継続的な自動調整を行うことで、システムが安定し、性能の最適化が実現します。図1の4つ目の流量曲線をご覧ください。ドループがわずかな状態に抑えられ、流量の範囲がさらに広がっていることがわかります。

程度の差はあれ、あらゆるレギュレーターにドループは発生します。その許容範囲はシステムによって異なりますが、流量の変化に対して圧力を一定に維持しないと支障が出るという場合は、適切なレギュレーター構成を選定することで対処しましょう。流体システムに最適な減圧レギュレーターの選定にお悩みでしたら、スウェージロックの専門スタッフにご相談ください。詳細につきましては、最寄りのスウェージロック指定販売会社までお問い合わせください。

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