「互換」チューブ継手を混用すべきでない理由
異なるメーカーのチューブ継手の混用または互換を行うべきでない理由
流体システムや分析計装システムでは、数十個もの高品質の部品が連動して機能することで、効率的なオペレーションを維持しています。パフォーマンスが低下すると、漏れ、安全への懸念、システムのダウンタイム(停止時間)などにつながりかねません。
こういった問題を防止する方法のひとつに、単一メーカーのチューブ継手を使用して流体システムを構築することが挙げられます。複数のメーカーのチューブ継手部品の混用や互換が可能という主張には、疑問を感じざるを得ません。スウェージロック互換であると実証されている他社製品は一切存在しません。他社製の継手との混用/互換を行うと、コストがかさむばかりか、リスクを伴うおそれもあります。システムのオペレーションにおいて、不要なリスクを抱え込むこととなり、作業者の安全を脅かすことにもなりかねません。
あなた自身やあなたの周りでは、他社製の継手やナット、フェルールがスウェージロック互換であるという主張に基づいて、日常的にチューブ継手の混用や互換を行っていませんか?ぜひ本ブログ記事をお読みください。チューブ継手の混用や互換によって、流体システムのパフォーマンス低下につながる理由を説明します。
チューブ継手の混用およびチューブ継手互換とは?
まず、混用と互換の違いを理解しておきましょう。
混用とは、複数のメーカーのチューブ継手部品(ナット、フェルール、ボディなど)を混ぜて、継手を組み立てることです。例えば、Swagelokチューブ継手ボディを、「スウェージロック互換」だという他社製の内部部品と組み合わせた場合、これは混用にあたります。
互換とは、あるメーカー(例えばスウェージロック)のチューブ継手をチューブに取り付けてから分解し、チューブ、ナット、フェルールを別のメーカーのチューブ継手ボディ(例:スウェージロック製品の代替品)に再度取り付けることです。
混用や互換が問題となる理由
チューブ継手に関する業界全体での設計基準は存在しないため、ブランドの互換や混用を行わないことが重要です。各メーカーは、独自の設計標準とプロセスに基づいて製造しています。つまり、多かれ少なかれ違いが生じることになります。
他社の設計をそっくりそのまま再現することは不可能です。目先の利益に捉われて混用や互換を行ってしまうと、不具合が生じた場合に大きな損害を被ることになりかねません。異なるメーカーのチューブ継手部品は、混ぜて使用することを想定していません。混用や互換を行った継手は、実質的にはまったく新しい設計であり、試験も行われていません。見た目がそっくりの部品でも、材料組成、電気めっき、表面硬化処理の違いにより、目に見えにくい差異があるかもしれません。
混用や互換を行った継手は、実質的にはまったく新しい設計であり、試験も行われていません。
混用や互換を行った継手には、次のような不具合が生じるおそれがあります:
- 設計、形状、公差、材料特性の違いによるシール面の不整合または非互換性
- スウェージング機構やトルク要件の不適合によるシール効果の低下
- パフォーマンスの低下と疲労破壊のリスク増大
このような理由から、チューブ継手部品の互換や混用を行うと、予想外のパフォーマンス、コスト増、潜在的な安全上の問題が生じるおそれがあります。また、混用や互換によって、保証が無効になる場合があります。例えば、継手の混用や互換を行った場合、代替部品に「スウェージロック互換」と表示されているか否かにかかわらず、 Swagelokリミティッド・ライフタイム保証 の適用外となります。もし不具合が生じた場合、さらにコストがかさむことになります。
スウェージロック互換とされるブランドにはどのようなものがありますか?
「スウェージロック互換」である代替製品は存在しません。中には、自社製品が他社の製品と互換性がある(例えば「スウェージロック互換」である)とうたっているメーカーも存在します。このように主張するメーカーは、それがコスト削減につながると説明することも珍しくありません。しかし、「スウェージロック製品の同等品」や「スウェージロック製品の代替品」などが、純正のSwagelok® チューブ継手と同じパフォーマンスを発揮することはありません。
チューブ継手の混用や互換は行わない
混用や互換を行わないというのは、多くの流体システム規格団体がベスト・プラクティスとして推奨しています。例えば、オイル/ガス装置の仕様、調達、納入を劇的に改善することを目的としたイニシアチブ:IOGP JIP-33では、特にチューブ継手の混用や互換を「好ましくないエンジニアリング手法」と呼んでいます。
信頼できる単一サプライヤーからチューブ継手を調達することは、たまたまだとしても、潜在的な互換や混用を避けるには良い方法です。単一ブランドの製品しか入手できない場合、複数の異なるメーカーの部品を誤って組み合わせることはありません。
継手間の主な違いにつきましては、こちらの コラム記事 をご覧ください。重要な流体システムに関する重要な設計・施工のベスト・プラクティスについて、興味がございますか?スウェージロックのエンジニアリング専門スタッフは、問題の診断、新しい組み立て品の設計、スタッフのトレーニングなど、オペレーションを最適化するためのさまざまなサービスを提供しています。
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