高性能なガス供給パネルでメンテナンスに要するコストを削減するには
ガス供給システムやパネルを改善してメンテナンス・コストを削減するには
Mark Welch、地域フィールド・エンジニア、スウェージロック・ロンドン
メンテナンス担当者にとって、ガス圧力コントロール・パネルの整備は、一筋縄ではいかないということも少なくありません。
チューブ やパイプのレイアウトが入り組んでいたり、直感的でなかったりすると、取り扱いに注意を要する部品へアクセスしづらい場合があります。一部のねじ接続部については、整備する際に取り外し、作業後に再度取り付ける必要があるかもしれません。バルブ や レギュレーター に使用圧力などの情報が記載されたラベルが貼付されていないと、交換品を選定する際に迷う場合もあります。
上記の作業はすべて、時間と労力を要するのはもちろん、コストもかかります。しかし、各種ガスを広範囲に供給してオペレーションを行う必要がある化学プラントや分析室では、どれも欠かせない作業です。システムの信頼性は、必要不可欠と言えます。必要な時に必要な場所でガスが使用できなければ、オペレーションが大幅に遅れるどころか、停止するおそれさえあります。
ガス供給ソリューションの詳細につきましては、動画をご覧ください。
圧力パネル設計の最適化=直感的なオペレーションとメンテナンス
従来、ガス供給パネルの設計は、直感的なオペレーションとはかけ離れたものが多く見受けられました。定期的な整備が必要な部品、例えば圧力逃がし弁やレギュレーターがエンクロージャーの背後に隠れていたり、チューブでブロックされていたりすることがあります。こうなると、部品にアクセスするには取り外すしかありません。こういった設計を選択すると、パネルのオペレーション方法がわかりづらく、パネルを適切に整備することが困難になることもあります。こうしたことが相まって、メンテナンスを完了するまでの時間が長引く可能性も考えられます。
必要な時に必要な場所でガスが利用できなければ、
オペレーションが大幅に遅れるどころか、停止するおそれさえあります。
また、整備を行っている間は、ガスの供給がユース・ポイントまで遮断されることになります。このようなダウンタイム(停止時間)が発生すると、生産やテストを中断せざるを得ません。整備作業が終わったらパネルを再度組み立て、ようやくオペレーションを再開できることになります。
最適な設計を採用した新型の ガス供給パネル であれば、このようなメンテナンスに関する懸念を軽減することができます。圧力レギュレーターやバルブといった重要な部品にアクセスしやすく、使用圧力などの情報が記載されたラベルを貼付しているパネルを使用しましょう。モジュラー設計であれば、チューブ継手で接続することで簡単に部品を交換でき、整備作業中もパネル全体を取り外す必要がありません。ガス供給パネルのサプライヤーには、お客さま独自のニーズを考慮してオペレーションに最適な構成を提供することが求められます。
シール性が高い接続=漏れが少ない
チューブ継手を使用すると、ねじ接続に比べてメンテナンスや再取り付けを容易に行えるほか、シール性が高い接続を行うことができるため、目立たないわずかな漏れを無くすことができます。わずかでも漏れがあると、時間が経つにつれてコストが膨れ上がっていくおそれがあります。
分析室や製油所といった施設で、さまざまな目的に使用されている窒素ガスを取り上げてみましょう。窒素のわずかな漏れが、直ちに安全上の問題につながるおそれはないものの、ガス漏れのコストは時間が経つにつれてかさんでいく可能性があります。窒素の漏れがわずかであっても、システム全体にわたってそこかしこに発生すると、システムから漏れたガスに無駄なコストを支払う羽目になります。高価なガスであれば、こうした漏れを特定して解消することが輪をかけて重要になります。
しかし、ガス供給システム全体でわずかな漏れの有無をチェックすることが、必ずしも施設のオペレーションにおける最優先事項であるとは限りません。日々優先すべき事項は、他にも多々存在します。ガス供給システムのさまざまな接続部で高品質の チューブ継手 を選定すれば、長期にわたって信頼性が高く、漏れのないパフォーマンスが実現し、採算性が高まる可能性があります。できれば、効率的なガス供給を実現するため、 評価サービスや実用的な洞察 を提供できる部品サプライヤーと協力することで、さらに大きなメリットを得ることができます。
高品質な部品=中断が少ない
高品質な部品を使用したガス供給パネルやガス供給システムを使用することで、メンテナンスにかかる人件費の削減にもつながります。
例えば、レギュレーターは、ガス供給源からのガスの圧力を下げてシステムの次のステップで使用するための装置ですが、大半が定期交換の対象となります。製造品質にもよりますが、一般的には、大半のレギュレーターは、5年ごとの交換が必要とされています。また、レギュレーターはガス供給者から提供されるケースが一般的です。通常、このような交換スケジュールに従うことが当然とされています。つまり、ダウンタイムや製造の中断を必要とするとはいえ、使用年数が5年と定められているレギュレーターを必要に応じて交換することで、パフォーマンス上の問題を防ぐことができます。
ただし、市販のレギュレーターがすべて同じように作られているわけではありません。何百万回ものサイクル・テストを行った高品質の レギュレーター を使用すれば、ガス供給システムの耐用年数が長くなるばかりか、定期的な交換作業とそれに伴う労力を省くことができます。高い基準に従って設計されたレギュレーターを使用することで、中断(およびそれに伴うダウンタイム)を減らして製造を継続しつつ、システムのパフォーマンスと安全性に関する不安を払拭することも可能です。
大半の分析室や製油所といった施設において、ガス供給システムは、効率向上とメンテナンス関連のコスト削減を実現する大きな機会といえます。最新のガス供給パネルを使用するメリットや、ガス供給を専門とするアドバイザーがお客さまのオペレーション・コスト削減にどのように貢献できるかについての詳細につきましては、最寄りのスウェージロック指定販売会社までお問い合わせください。
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